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オリジナルSS「メイドトレイター」2話

さて、少し間が空いてしまいましたが、オリジナルSSメイドトレイター2話です。一気に盛り上がります。
とりあえずようやく戦闘シーンありますので、その迫力をご覧くださいませ。

↓↓以下SS↓↓

前回のあらすじ
謎のスパイ『キリサキ』と共にフリーメイドンの秘密基地を脱出した栃乙女アリス。
通気ダクトを抜けた先は、どこともわからぬ森の中だった。無事に外へ出られたかに見えたが……!?

「なんだか、静かですね」
アリスはぽつりと呟いた。風がないせいか、木々の葉のこすれる音も無い。野生動物の鳴き声もしない。
せいぜい、自分たちが踏み倒す草むらの葉音がするだけだ。
あまりの無音に、ひどく不安になってしまう。
キリサキはアリスに微笑みかけた。
「大丈夫、方向はわかっている。このままうまく脱出してみせるさ」
アリスは深呼吸をすると、はい、と答えた。
さっさと歩くキリサキの背中が、とても頼もしく見えたのだった。



「首領様、ご報告します」
「どうした、メイド長?」
「栃乙女アリス、及び裏切り者であるスパイ、キリサキの居場所がわかりました」
「ほう、やっと見つけたか」
「どうやら通気ダクトを通り、地上のエリア208を基地の敷地外に向かって進行中です」
「なるほど。その辺りならば、我々が先回り可能だな。
しかし、我々の洗脳手術を施した者がなぜ裏切ったのか、不思議だ」
「どうやら、改造担当のメイドに不手際があったようです。キリサキは体も改造されず、我々の一般メイド服を着て潜りこんでいたようです。
このような事態をまねき、大変申し訳ございません」
報告したメイド長は深々と頭を下げた。
「面をあげい。改造担当メイドを『再教育部屋』へ連れて行け」
「さ、『再教育部屋』でございますか」
それまで表情ひとつ変えなかったメイド長が、目を丸くした。
フリーメイドンのメイド達にとって、『再教育部屋』はそれほどに恐ろしい場所なのだ
「そうだ。二度、言わすでない」
「ハハッ!かしこまりました!」
「それから栃乙女アリス達だが……訓練させていたプロトタイプがいたであろう。奴を向かわせろ」
「よろしいのですか。力の差がありすぎます。万が一の場合、貴重なストロベリーメイドを殺してしまうことに……」
「かまわん。奴には作戦プランCを伝えておけ。
もしストロベリーメイドが倒れるのであれば、所詮その程度だった、ということだ。
さぁ、奴を向かわせろ!」
「ハッ!ただちに!」



「よし、助けを呼べるポイントについた。レスキュー信号を送れば、すぐに助けが来る。もう安心だ」
「ありがとうございます。キリサキさんのおかげで、逃げることができました。
あの……キリサキさんは、本当に何者なんですか」
「……ここまで来られたんだ。そろそろ話してもいいだろう。
あたしは自衛隊特殊作戦群所属の隊員だ。
以前からフリーメイドンの活動を察知し、武力を持って制圧を試みた。
……だけど、惨敗だった。それほどに、フリーメイドンの改造メイドは強力だった。
だから、あたしはこうして内偵し、フリーメイドンの強さの秘密を探っていたというわけさ」
「……今の自衛隊の戦力でも、フリーメイドンには勝てないのですね」
キリサキは苦虫を潰したような顔になる。
「最初の小さい組織のうちに、絨毯爆撃とか毒ガスで殲滅できていればよかったさ。
でも、今の日本で、そんなことを大っぴらに実行できない。
あくまで歩兵による局所的な戦闘で、秘密裏に処理したいのが上の考えさ」
キリサキはため息をついた。
「相手の戦力を分析して、戦う手段を考えているうちに、フリーメイドンは世界中に支部を持つ大組織なった。
今となっては、奴らの改造メイド技術を盗むくらいしか、勝つ手だてがないのさ」
「それで、ボクに協力してほしいってわけだったのですね」
キリサキは静かに頷いた。
直後、森中に笑い声が響きわたる。
「キャハハハ!聞いちゃった、聞いちゃった!」
アリスもキリサキも、身構えて辺りを見回した。
だが、どこにも姿が見えない。
「へぇ~、そぉなのぉ~!こそこそ我々をかぎまわっていたのが、自衛隊のみなさんだったのねぇ~。
こぉ~んな大事なこと、首領様に報告しないわけにはいきませんねぇ~」
「くそっ、つけられていたのか!!?」
「くすっ。とぉーぜんでしょ~?フリーメイドンをなめちゃ、だ・め・よ?
さーって、まずは、邪魔なハエをたたき落とさなきゃねぇ」
アリスは言葉の意味が分からないでいると、程なく答えがやってきた。
激しいプロペラ音とともに、自衛隊のヘリが頭上に現れる。
キリサキは叫んだ。
「まずい、来るなっ!!」
「えいっ♪」
次の瞬間、何か細いものが数本、ヘリへ向かって一直線に伸びた。
それはいとも簡単にヘリを串刺しにした。
あっという間にヘリはコントロールを失い、くるくると回りながら墜落した。
爆発とともに散らばる破片が、絶望となってアリス達に降り注いだ。
轟々と燃えさかるヘリの残骸を背に、キリサキの怒号がとぶ。
「どこにいるっ!?でてきやがれっ!!」
「うふふふ……」
どこかの木の枝が、がさっと動いた。
かと思うと、アリス達の前に、緑色のメイド服を着た改造メイドが着地した。
アリスは、そのメイド服に驚いた。フリーメイドンの一般メイド服とは、まるで違うデザインだからだ。
「気をつけろ、アリス!こいつは、あなたを生み出すために作られた、合成メイド怪人のプロトタイプよ!」
「あらん、お詳しいのねぇ~。さすが、今まで改造を免れてきたスパイさんだわ~。
それじゃ、メイドの土産ならぬ冥土の土産に、自己紹介してあ・げ・る♪」
彼女はそれまでのゆったりした表情から、きりりと力が入る。
「私はフリーメイドンの忠実なるメイドにして、メロンとの合成メイド怪人、貫美メロ子よ!」
言い放った合成メイド怪人・メロ子の言葉は、姿を見れば誰もが納得のいくものであった。
メロ子のメイド服は緑色だが、白い編み目模様の筋が入っている。
エプロンはメロン独特の白っぽい果肉のグラデーションに一致していた。
加えて、メロンと呼ぶに相応しい豊満な胸部に、アリスは元男だからであろうか、目が釘付けだった。
「でも、メロンと言えば夕張では……」
アリスの素朴な疑問に、サービス精神旺盛なメロ子は答える。
「あらん、残念でした~。わたしぃ、赤肉じゃなくて青肉系なのぉ。首領様の好みでぇ、そっちの有名な品種とあわせていただいたのぉ~!」
「な、なるほど……!」
「アリス、納得している場合じゃないぞ!」
身構えていたキリサキを見て、アリスははっとする。
「遅い!」
メロ子の両手がみるみる緑色になり、指が細長い蔓に変形する。
そのまま両腕を振りかぶると、蔓になった指が鞭のように襲いかかった。
「飛べっ!」
「うあぁ!!?」
二人は左右に飛ぶと、かろうじて鞭の固まりをよけた。
だが、まだ二人が飛んでいるさなかに、メロ子はニヤリと笑みを浮かべる。
「それで、かわしたつもり?」
メロ子は踊るようにして腕を振り回す。
すると地面に叩き付けられたはずの蔓が、複雑に跳ね回った!
アリスは目を見開くと、咄嗟に体を丸め、両腕を顔面
でクロスし、ガードする。
「う、あっ!ぐ、わっ、ああああっ!!!」
ところが無防備な背中を打たれてのけぞってしまい、かと思えば腹の一撃に体を丸くしてしまう。
蔓の衝撃は、まるで金属バットのフルスイングだ。
いくら防御に徹していたとはいえ、あらゆる角度から襲いかかる蔓を防ぐことはできず、かなりのダメージを受けてしまう。
ようやく着地したときには、全身に擦り傷を負い、メイド服はぼろぼろに破かれ、血に塗れていた。
片膝をつきながら、全身の痛みに耐える。
「う、ぐぐ……」
アリスは内股になりながらも、なんとか立ち上がる。
目に写ったのは、触手のようにうねる手をぺろぺろと
舐めるメロ子の姿だった。
メロ子は舌を口にしまうと、血の口紅で化粧をしたようになった。
「さすがぁ、合成メイド怪人ねぇん。普通の人間ならいまごろ死んでいるわよぉ~。
ほらほら、あっちの裏切りものなんかぁ、虫の息ですものぉ」
アリスはメロ子の指さした方に視線を向けた。
そこには、血塗れのままうつ伏せに倒れ、ぴくぴくと
痙攣するキリサキの姿あった。
「キ、キリサキさん!?」
「ふふ、すぐにあなたも、ああやって寝かせてあ・げ・る♪
でもぉ、そのまえに首領様の命令でやらなければならないことがあるの~♪」
すると、メロ子は触手と化した手を元に戻し、エプロンとスカートの間をごそごそとさぐると、スマホを取り出した。
メロ子はアリスへと近づきながら操作し、ちょうどアリスの目の前に来ると、スマホの画面が見えるように突き出す。
「これをご覧くださぁい」
「えっ……飛行機……?」
画面に映っているのは、空の快適な旅の真っ最中であろう、旅客機だった。
きょとんとするアリスに対し、メロ子は最高に意地の悪い笑みを浮かべた。
「たしかぁ、アリスちゃんの家族って海外旅行中なんですってねぇ~」
アリスは青ざめた。
「ちなみに、この『爆発』って文字が書いてあるでしょ~?これをタップするとね、と~っても綺麗な花火があがるんですってぇ~。
ねぇ、アリスちゃんも花火、みたいかしらぁん?」
「ひ、卑怯なっ!いったい、何が望みなんだ!」
「うふふ、理解が早くて助かるわぁ~。あのね、首領様の話では、アリスちゃんがフリーメイドンに忠誠を誓って、洗脳改造を受けてくれると、飛行機は無事に到着できるんですってぇ!」
「そ、そんな取引……!」
「あらん、そんな態度でいいのかしら~?『爆発』を押すかどうか、私の気分なんだけどぉ?」
「うぅ、ボクはどうすれば……!!」
アリスは拳を握りしめ、奥歯を噛みしめる。
すると、掠れた声でキリサキが必死に述べた。
「だ、だまされるな、アリス……!奴らが、そんな、約束、する、はずが……ぐ……いいか、フリーメイドンにとって、君の体を解析されるほうが、脅威なんだ……だから、それを阻止するためなら、奴らは……!」
「キリサキさん……」
「ふん、死に損ないがおしゃべりだこと。でも邪魔をするなら、さっさとトドメをさしちゃうんだから」
メロ子の片手が再び蔓になると、指一つ一つが、今度は鋭く長く、堅い針のようになる。
そのまま一気にキリサキへ指を延ばす。
キリサキは四肢を貫かれ、体を持ち上げられた。
「ぐあああぁぁぁっ!!」
「さぁて、アリスちゃんへサービスしちゃうわぁ。
アリスちゃんがもう一度フリーメイドンに忠誠を誓えば、この子も助けてあげるわぁ。
それから、首領様はね、あなたの家族も洗脳しないと言っているわぁ~」
「ほ、本当!?」
アリスの心は揺らいだ。
キリサキさんを助けられるなら、家族を助けられるなら、それでいいかもしれない。
だけど、キリサキさんの言うように、自分の体がフリーメイドンを倒す切り札になるかもしれない。
自分の悲しみを回避するために、たくさんの人を悲しませていいものか。
悩むアリスに、キリサキはなんとか言葉を伝える。
「だ、だまされるな……!たとえフリーメイドンが、何もしなくとも、洗脳後の君は、家族に対して、どうすると思う……!?」
アリスは得心した。
フリーメイドンに改造されたメイドは、他人を自分と同じフリーメイドンの改造メイドにしてしまう。
たとえ家族であっても、一切の躊躇はない。
アリスは、フリーメイドンのやり方に恐怖を抱いた。
しかし、それ以上に怒りが込み上がる。
確かに、フリーメイドンの組織としては、今の約束を守るだろう。
だが、洗脳後のアリスは、嬉々として家族を洗脳してしまうに違いない。
「ボクを洗脳さえできれば、約束を守る気なんて、なかったんだな!」
「うふふふ……アハハハ!」
メロ子はひと笑いすると、肩を落とした。
「はぁ、もうこの茶番もおしまいなのねぇ。
それじゃ、価値のなくなった人質がどうなるか、ご覧くださ~い」
「な、ま、待てっ!」
メロ子は躊躇無く『爆発』をタップした。
画面に写っていた飛行機は、跡形もなく爆散した。
「あ、あ、ああああぁぁあっ!!!」
アリスは声にならない叫びをあげてしまう。
アリスの家族は今、死んだ。
父も、母も、妹も。
「さぁて、遅かれ早かれ、こうなるとは思っていたのよ」
メロ子はキリサキを思い切り投げ飛ばした。
「私ねぇ、プロトタイプってことで、あなたの前座みたいな立場だったの。
でもねぇ、首領様があなたを倒せば、合成メイド怪人1号として認めてくれるって仰ったわ。
私の気持ち、おわかり?」
メロ子はスマホを投げ捨てると、両手を針のように変形させる。
アリスは光を失った目で、転がるキリサキを見た。
もう、痛みに痙攣する様子もない。
アリスは転がるスマホを見た。
もう、何も写っていない。
目の前で、全てを失った。
「(どうして、こんなことに)」
アリスは疑問を浮かべるたびに、胸に悲しみが広がっていく。
どうして、どうして、どうして……。
広がった悲しみは、みるみる別の感情へと変換された。
それは――怒り。
フリーメイドンに対して、メロ子に対して向けた、底知れない、怒り。
俯いていたアリスが、全身に力を込める。
すると、体中から眩い光を放ち、激しい波動が周囲に放たれる。
草は放射線を描くように倒れ、木々は台風でも来たように騒ぐ。
「な、なによこの子!?」
思わず髪を押さえるメロ子が見たのは、黄金に輝くアリスだった。
「……許さない!」
アリスはメロ子を眼力でたじろがせた。
そのまま両手を胸の前に持って行くと、全身からあふれ出る波動をそこへ集中させた。
「なに、あれは、イチゴ……?」
集中した波動はイチゴの形となっていた。
アリスは体を屈めて振りかぶると、放った。
「ストロベリー……フラァァァァッシュ!」
地面をえぐり、大気を振るわせながら、イチゴの波動はメロ子に突撃した。
「ちょ、ちょっとなによこれ、なによこれぇえええ!!!?」
イチゴの波動はメロ子を飲み込むと、巨大な爆発を起こした。
しばらくして爆煙がおさまると、半球にえぐれた地面の中心に、メロ子が立っていた。
アリス以上にぼろぼろの姿で、最後の力で立っていた。
メロ子はアリスを睨むが、次の瞬間、体が内側からボコボコと膨らんだ。
よく見ると、血管が破裂しそうなほどに膨らんでいる。
「ちく、しょう……ふ、フリーメイドン……ばんざぁぁい!」
メロ子は天を仰いだ直後、倒れ、体が爆発した。
それを確認したアリスは、ぺたんと鳶座りになる。
自分の手を見て、自分が何をやったのか何度も反芻し、理解しようとした。
「(今、必殺技が自然と浮かんだ。そして、ボクは必殺技でメロ子を…………)」
アリスは頭をふって考え直した。
アレは人間ではない。フリーメイドンの改造メイドだ。人類の敵だ。そう思いこむことで、深く考えないようにした。
アリスはキリサキの元へ駆け寄った。
キリサキは既に、目も半開きにしか開かず、ぴくりとも動かない。アリスが抱き上げた体は、とても冷たかった。
「キリサキさん…………」
アリスの目から、すぅーっと涙が流れた。
怒りで押し殺していた悲しみが、一気に解放されていった。
「う、アリ、ス……」
「キ、キリサキさん!大丈夫ですか、キリサキさん!」
「さす、がだな、あんた、さいこう、だぜ……。
あた、しは、もう、だ、めだ……」
「いやだ、いやだよぉ!ボク、自分一人じゃどうしていいか、わかんないよぉ!」
「へ、だい、じょぶ、あんた、やれる、もっと、自信、もて……こ、これを……」
キリサキは最後の力を振り絞り、懐からカードを取り出した。
それは、『霧島咲弥』と書かれた顔写真付きIDカードだった。
「もし、なにか、あったら、裏に、メモ……が……あと…………たの……だ」
キリサキは目を閉じ、うなだれた。
「キリサキさん……!?キリサキさん!キリサキさんっ!キリサキさァァァんッ!!」


朝日の強い光は、夜通しのアリスには少しきつかった。
それでも、崖の上から見下ろす世界と、そこから上る太陽のフレームは絶景であった。
「(ここを選んでよかった。そうだよね、キリサキさん)」
アリスは朝日に照らされた、十字の木の枝に微笑んだ。
再び目に涙がたまり始めるのは、眩しいからではない。
「ありがとう、キリサキさん。ボク、かならずフリーメイドンの野望を阻止してみせるよ。
フリーメイドンを倒したその時は、必ずまたここに来る。だからそれまで、ゆっくり寝ていて。
本当に、ありがとう。そこでボクのこと、見守っていてね」
アリスは昇る朝日をバックに、この場を旅だった。
フリーメイドンの合成メイド怪人、ストロベリーメイド、栃乙女アリス。
彼女の孤独な戦いが今、始まった――。
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